【医師監修】産み分けコラム COLUMNS
【医師監修】精液検査について知りたい!手順や改善方法とは?
「妊活をしているもののなかなか自然妊娠に至らない……」
「精液検査をなんとか夫に受けてもらいたいけれど、精液検査って一体どんなことをするの?」
妊活中、そんな悩みを抱える女性は多いのではないでしょうか。
不妊の原因は男女双方にあるものなので、なかなか自然妊娠に至らないという場合はご夫婦両方の検査が必要です。
今回は、精液検査の流れや受けられる医療機関、費用といった基本的な情報に加え、結果によって改善の余地があるのかも解説します。
どんな検査?精液検査でわかる項目などを解説

精液検査とは、精液量をはじめ精子濃度、運動率、正常形態精子率などを調べる検査のことで、男性の不妊治療ためにおこなわれます。妊娠するには男性と女性、どちらの妊娠力も必要となるので、自然妊娠がどうしても難しいという場合は不妊検査を受けることになります。検査はあらかじめ採取した精液を使っておこなわれ、男性の不妊検査としてポピュラーな検査です。
精液検査でわかるのは主に下記の項目で、これが男性不妊かどうかの判断材料になります。
・精液量:1回の射精による精液量を調べ、多すぎたり少なすぎたりしていないかを検査します。
・精子濃度:1mlの精液中に精子の量がどれくらい含まれているか、検査機器と目視で数えます。
・運動率:活発に活動している精子の割合を調べます。
・正常精子形態率:精子の形状を確認。精子には一般的に、正常な精子と奇形の精子の両方があります。ここでは、正常な形状の精子割合を調べます。
結果は、体調といったさまざまな要因によって変動します。また、採精には細かいルールや条件が必要となるので、数回の検査や再検査を行ってその検査精度を高めます。
検査に使う採精の条件とは?
採精には、いくつか厳しい条件があります。
まず、3〜5日間の禁欲期間が必要となります。禁欲期間が短い状態で精液検査を行うと精子濃度が低くなり、正常な値が出にくくなります。
次に採精場所ですが、検査を受ける施設内で採精することが推奨されています。自宅での採精を希望される人も多いようですが、精液検査では時間経過や温度変化、紫外線の影響などによって、検査結果に影響があるためです。
ただ、医院によっては自宅での採精が可能なところもあります。その場合は、採取後30〜60分以内に医院に持参する必要があるので、確認してみてください。
さらに良い状態の勃起が良い射精につながるため、採精のタイミングで緊張などによって勃起が不十分だと射精に影響が出てしまうのです。
プライバシーは守られる?検査の流れについて知りたい
精液検査はどんな流れでおこなわれるのでしょうか。流れについて解説します。
1.問診:検査前に注意事項など検査の説明があり、採精用の採取容器が渡されます。
2.準備:外から見えないようになっている個室でリラックスしながら準備します。
3.採精:採取容器に全量を採精します。
4.診療:診療とともに次の検査の準備や注意事項の説明があります。
5.予約:次回で検査結果が説明されるので、診療予約をおこなって帰宅します。
一連の全ての流れでプライバシーには十分配慮されるので、安心して受診してください。
治療が必要な場合、結果いかんで治療内容が決定するわけではありません。相手に不妊治療が必要かどうか、年齢、通院できる頻度など、条件が多種多様だからです。
医院では、検査結果とともにさまざまな状況や希望を聞いた上で今後の治療法を含めたアドバイスがおこなわれます。
精液検査はどの医療機関・診療科で受けられる?
検査は、産婦人科のほか主に泌尿器科で受けることができます。少し前までは男性不妊に関しての検査や治療は泌尿器科、女性不妊は産婦人科という棲み分けがされていましたが、昨今ではご夫婦一緒に受診できるクリニックも増えています。
宅配検査の方法もありますが、前述の通り精液検査は採精してから短時間での検査が必要となります。特に精子の運動率は採取してから60分以内に調べる必要があるので、宅配検査で男性不妊の検査をするには不十分であることがほとんどです。
また男性不妊を専門としたクリニックもあるので調べてみるのもおすすめです。迷われているようでしたら、まずは女性が通われている産婦人科に相談してみるとよいでしょう。
精液検査の費用が知りたい
検査自体は自由診療、もし治療が必要な場合には保険診療となります。検査のみの費用は費用は一般的に5,000〜10,000円です。
精液検査はどれくらいの頻度での検査が必要?
検査の回数は、1カ月以内に2回が望ましいとされています。この2回の検査に大きな相違があれば、再検査をおこないます。精液検査はとてもデリケートで、ストレスや体調、そのときどきの様子で左右されるので、複数回をおこなって中央値が採用されます。
男性の不妊症状にはどんなものがある?

射精によって体外に出た億単位の精子。卵子に到達して受精するための理想は、全身運動率の高い精子が多いことだとされています。その前提を踏まえて男性の不妊症状の原因を探ると下記のような理由が挙げられ、男性にその自覚症状はありません。
・精子数が少ない:乏精子症、無精子症
・精子の運動率が低い:無力精子症
・正常精子形態が少ない(奇形率が高い):奇形精子症
これらの症状は、次に説明する基準値によって判断されます。
精液検査の基準値とは
精液検査によって出た結果は、2010年にWHO(世界保健機関)で定められた基準値をもとに内容が説明されます。主な精液検査の基準値は下記の通りです。
・精液量:1.5ml以上
・精子濃度:1,500万/ml以上
・運動率:40%以上
・正常精子形態率:4%以上
もしこの基準値を満たしていなくても、不妊であるとは断定できません。前述の通り、精液検査は条件や体調などによって内容に影響が出やすく、男性機能はとてもデリケートだからです。
改善余地はある?一番多い症状・乏精子症の対処方法について
乏精子症(ぼうせいししょう)は、男性不妊のなかで最も多い症状の1つといわれています。自然妊娠での理想量は4,000万〜5,000万/ml以上ともいわれますが、1mlあたりに1つも精子がない状態は無精子症と呼ばれます。
精子が少ない原因には、精子を作る機能に異常が起こっている場合と、精子が通る器官に異常がみられる場合の主に2パターンが見られ、そのどちらが理由かによって治療方法が異なってきます。
精子を増やすには、有酸素運動を増やす、睡眠時間を確保する、禁煙、肥満を避けるといった生活習慣の改善が望ましいと言われています。また食生活では、加工肉やトランス脂肪酸を避けたり、カフェインを摂取しすぎない、ビタミンB・C・Eが含まれている食品を積極的に摂取するといった方法があります。
もし無精子症と診断された場合、遠心分離法などで慎重に再検査がおこなわれます。精路通過障害であれば、正常な精子が詰まっている可能性も。これは手術での解決が可能です。
また、ほかの原因でも薬物療法をおこなうなどして正常な精子を取り出すことができるかもしれないので、医師の診断をあおぎましょう。
医師は、検査結果を総合的にみて不妊治療の提案やアドバイスをおこないます。もし基準値を満たさなかった場合は、後日改めて再検査をおこなうなどして、結果を観察することが可能ですので相談してみるとよいでしょう。
まとめ

精液検査の基本情報をはじめ、費用や受ける頻度についても説明してきました。なかなか自然妊娠に至らない場合、女性側ばかりが不妊治療を続けてしまい疲弊してしまうケースも多々。延々と続く治療に疲れてしまう前に、男性側でも精液検査をおこなうことをおすすめします。
また、男女産み分けを希望されているご夫婦にも精液検査はおすすめです。株式会社ChromoS(クロモス)のMicroSort「マイクロソート」は、精液検査のみでおこなえる男女産み分け法。実は、株式会社ChromoSでも精液検査を提供しています。オフィスビル内にある検査所での検査のため、産婦人科や泌尿器科の受診に抵抗がある方にもおすすめです。もしMicroSort「マイクロソート」で男女産み分けをお考えでしたら一度、精液検査を受けてみてはいかがでしょうか。

監修

中林稔
産婦人科医 / 三楽病院産婦人科
日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。
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