【医師監修】産み分けコラム COLUMNS
【医師監修】タイミング法で授からないなら人工授精を検討。特徴や方法を解説
赤ちゃんを望む夫婦なら、当然「妊活」を実施します。しかし、授からない期間が長くなると「わたしはできにくい体質なの?」「夫婦どちらかに何か身体に問題があるのでは?」と焦りや不安を感じる方もいらっしゃるかと思います。
中には「人工授精」という選択肢を考えたり、詳しく知りたい方もいらっしゃるのでは?
この記事では「人工授精」をテーマに、
・タイミング法と人工授精の違い
・人工授精の実施手順
・金額等の詳細
・デメリットや注意点
を医師監修のもと、なるべく難しい専門用語を分かりやすく解説します。
最後までお読みいただくと概要が分かり今後の選択肢やヒントが得られます。
タイミング法と人工授精について

それぞれの手段の特徴について見ていきます。タイミング法の次のステップアップが人工授精ですが、あわせて「どんな人が対象になるのか?」や「いつ検討をすべきなのか?」など解説します。
授かる可能性は?タイミング法と妊娠の確率
まずはタイミング法の特徴と授かる確率についてです。
■タイミング法とは
排卵日付近にSEXし、受精の可能性を高める妊活方法。
授からない時期が長期間続くと、不安や焦りが出てくるかと思います。一般的にはタイミング法でおこなったSEXで授かる確率は、1回あたり約30%程度。
よって1年間妊活を続けると、約90%妊娠すると考えられています。そのため、1年以上授からない場合は「不妊症」と呼ばれています。
人工授精の特徴と実施の対象になる方について
続いて人工授精について見ていきます。
■人工授精とは
医療機関にて、洗浄した精液を排卵日に子宮内へ直接注入する方法。
妊娠までのプロセスは自然妊娠とほぼ同じですが、
・洗浄した精子を注入する
・子宮の奥へ直接精子を注入する
といった違いがあります。
遠心分離により精子を洗浄して「質の良い精子」のみを子宮の奥深くに注入します。一般的なSEXよりも受精しやすい環境に近づけます。
人工授精を実施する対象となる方
・射精はできるが、性交障害や射精障害などといった事情でSEXが難しい夫婦
・タイミング法を実施しても授からない方
・精子の数が少ない、運動量が少ないといった精子に軽度な問題がある場合
・子宮内膜症によって授からない場合
・子宮の入り口付近の粘液が少ない場合
など。
上記に当てはまる方は、実施対象者となります。より妊娠の可能性を高めるというメリットとなりますので、今後の選択肢として検討されてみてはいかがでしょうか。
タイミング法から人工授精を検討するタイミング
ここまで読んで「人工授精はいつ検討すればよいのか」と疑問に感じる方もいらっしゃるのでは?
目安として、医師の指導によるタイミング法を半年以上実施しても授からない場合は、検討されるとよいです。
人工授精の流れと妊娠までのプロセスについて

では実際にどのような流れで実施されるのでしょうか?
以下では一般的な人工授精の手順と、妊娠するまでのプロセスを解説します。
【人工授精の手順1】排卵日を推測する
人工授精は、妊娠の可能性を高めるために排卵日におこないます。そのため、まずは排卵日を推測します。
排卵日の前に人工授精をおこなう病院を受診し、超音波検査や採血、排卵検査薬などをおこない推測します。必要な方は「排卵誘発剤」にて排卵を促すケースも。
推測できたら、担当医と相談して人工授精の日などスケジュールを決めます。
【人工授精の手順2】精液を採取する
人工授精の当日に、パートナーから精液を採取します。病院か自宅で精液を採取して病院に提出し、精液検査をおこないます。遠心処理にて精液を洗浄・濃縮して元気のよい精子のみ選定します。
【人工授精の手順3】子宮内に精子を注入
精液検査にて選定した精子を、人工授精用の細いカテーテルに入れて子宮内の奥へ注入します。痛みはほとんどなく、所要時間は約5分ほど。
以上が、一般的な手順です。
以降は通常通りの生活をおこなって問題はありません。また、妊娠までのプロセスは変わらないため、必ず授かるとは言えません。後日「月経がきたのかどうか?」で判断します。
人工授精の費用や知っておきたい知識について

上記では人工授精の一般的な流れを解説しました。
比較的心身の負担が少ない方法なので、授からない方は検討される方もいらっしゃることでしょう。
そのときに気になるのが、金額やデメリットなどの人工授精の詳細です。
以下では、
・人工授精の費用
・デメリットや注意点
・人工授精で妊娠しなかったときの選択肢
について解説します。
人工授精の費用は一般的にはどのくらい?
人工授精の費用は受診する病院にもよりますが、1回につき約2~3万円です。(保険適用外)
ただし、病院によって初診料やオプション検査等の金額は違うため、気になる方は病院に問い合わせるのが確実です。
人工授精のデメリット・注意点はあるのか?
手軽に実施できる半面、デメリットや注意点があるのかは気になるもの。
以下、3点知っておくとよいポイントを解説します。
・骨盤腹膜炎の発症する可能性がある
骨盤腹膜炎を発症することがまれに起こります。子宮内に直接カテーテルを挿入するため、その際にばい菌が入り炎症が発生することがあるのです。症状としては高熱が出たり腹痛が起こったりします。
ですが、とても発症率は低いので重度に心配しなくても大丈夫です。
・1回での妊娠の確率は低い
上記でも解説しました通り、妊娠までのプロセスは通常妊娠と変わらないため、人工授精1回での妊娠の確率は10~15%程度。よって、人工授精の費用もおこなった回数分だけ発生します。
・費用は保険の適用外
上記でも触れましたが、人工授精は保険の適用外です。費用は毎回自己負担になります。
以上が、3つの注意点でした。
1回での成功は難しく「何度かおこなって成功する」という心構えで臨んだ方がよいでしょう。あわせて、パートナーに協力してもらい「精子の質を高める」ことを意識し、日々の生活習慣や食事を改善することも有効です。
上記のデメリットや注意点をふまえて諦めず、前向きに今できることを取り組むことが成功へのキーポイントです。
人工授精で妊娠しなかったらどうすればよい?
ここまでお読みいただき、人工授精について基本的な知識が得られたのではないかと思います。実施自体ははそれほど難しくなく、身体への負担も少ないので「チャレンジしようかな」と前向きに考えた方もいらっしゃったのでは?
その反面、確率は通常とさほど変わらないため「授からないのでは?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。どうしても赤ちゃんを授かりたいなら、他に選択肢があるのか気になるもの。
結論として病院側の考え方や方針にもよりますが、人工授精を6回以上おこなっても授からない場合、次のステップアップに「体外受精」があります。
体外受精とは、文字の通り卵子を体の外へ取り出し、パートナーの精子と受精させて、再び子宮の中へ戻す治療法です。年齢が上がるにつれて妊娠の確率は下がりますが、約30%前後と言われています。
ただ治療には痛みを伴ったり、保険が適用されないため1回で約40〜60万円と高額になったりと心身や金銭面に負担が大きい治療法です。そのため国が費用の一部を負担する助成金制度があります。(特定不妊治療費助成事業)
受診している病院の担当医とよく相談し、検討するとよいでしょう。
まとめ
今回の記事は医師監修のもと、「人工授精」をテーマに詳細を解説しました。
今後の1つの選択肢として、知っておくだけでも不安や焦りも和らぐもの。
妊娠にはストレスは禁物です。リラックスし、赤ちゃんを授かりたいご自身とパートナーの素直な気持ちを大切にして、今後のヒントや参考にされてください。
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今後の選択肢になりますと幸いです。

監修

中林稔
産婦人科医 / 三楽病院産婦人科
日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。
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