【医師監修】産み分けコラム COLUMNS
【医師監修】妊娠には精子の質が重要!妊活力を高める男性の生活習慣と方法
赤ちゃんは授かりもの。「妊活をしているけどなかなか授からない……」と悩む女性も多いです。そんなとき「自分の体質や卵子に問題があるの?」と不安になる女性もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は妊娠の成功には女性だけでなく、男性の精子の質も非常に大切なのです。妊活をするなら、女性だけでなく男性の協力も必要不可欠。
そこで今回の記事では、
・男性の精子と質について
・精子の質を下げてしまう原因
・精子の質を上げる具体的な方法
を医師監修のもと解説します。
妊娠のカギを握る男性の精子について

「妊娠できるかできないか」のキーポイントは、実は精子です。実際に受精するときは精子のはたらきによりますよね。よって、精子の質=「精子が健康で元気なこと」は妊娠のための第一条件と考えられます。
以下では、精子について詳しく解説します。
男性の精子が作られる仕組み
まずは、精子が作られる仕組みや特徴を簡単に解説します。
男性の精子は「陰嚢」内の「精巣」で毎日、約5,000万匹から1億匹ほど作られています。精巣内で成熟した精子が作られるまで約74日ほどかかります。その後、精子は精巣から「精管」(全長約40センチ)へ移動し、前立腺や精嚢の分泌液と混ざって尿道を経て体外に射精されます。精管から体外に射精されるまでは約14日ほどかかります。
よって体内で精子が作られて体外へ射精されるまではタイムラグがあり、およそ3ヶ月かかります。体内で3ヶ月前に形成された精子が射精されているのです。
妊娠にはなぜ精子も重要なのか
上記では精子が作られるプロセスをお伝えしました。ではなぜ、妊娠には精子が重要になってくるのかをお伝えします。
一般的にSEXして、膣内で射精された数億匹以上もの精子が卵子のもとにたどり着くのは約100匹程度と言われています。さらに無事に卵子と受精できるのはたった1匹。ですので、それまでにはほどんどの精子が、卵子にたどり着くまでに死滅してしまいます。
また精子は膣内で射精後は2~3日程度生き延びますが、卵子の寿命は約1日程度。タイムリミットがあります。卵子が生きているうちにたどり着く必要があります。
元気で健康な精子でなければ、受精することが難しいのです。よって、妊娠の成功には精子の質が重要になってきます。
良質な精子とは?知っておきたい精子力
それでは、妊娠の確率を高める「質の良い精子」とはどういった精子のことを指すのだろうか?と気になるかと思います。以下にポイントをまとめました。
【良質な精子の条件】
・運動量が多い
よく動いて元気であれば、前進する力もあるため卵子のもとへたどり着きやすい。
・精子の数が多い
数が多いほど、生き残る確率が高まる。
・形が良い
特に精子の「頭部」の形が良いと、卵子に入りやすくなり受精の可能性が高まる。「頭部」の形が悪い「奇形精子」だと受精できる確率が低くなる。
・DNAが損傷していない
精子のDNA(核)が損傷していると受精しにくい。
といったポイントを満たしている精子です。上記のポイントを満たしているならば、自然と受精できる可能性が高まります。
しかし近年では年齢に関わらず、精子の量が少なかったり、運動量が少なかったりといった「質の下がった精子」が多くなっており、不妊の原因の一つであると言われています。
男性の精子の質を下げてしまう原因とは?

ここまでお読みいただき、妊娠する可能性が高い「質の良い精子」と可能性を狭める「質の低い精子」があることが分かりました。妊娠を望むなら精子が重要なことが理解できたかと思います。では、男性の精子の質が下がってしまうのはなぜなのでしょうか?
以下、詳しく理由や原因を解説します。
男性の精子の数が少ない原因は?
良質な精子の条件に「精子の数」があります。妊娠の確率を高めるには数は多いほどいいのですが、数が少ない人もいるのです。まずは精子の数が少ない原因を解説します。
精子の量が少ないと考えられる原因は、以下の3つがあります。
【精子の量が少ない原因】
・精路機能障害
精子が体外に出るまでの「精管」や「尿道」に病気等の問題がある
・造精機能障害
「精索静脈瘤」や「非閉塞性無精子症」など、精子を生産過程に問題がある
・原因不明
身体の機能的な病気でなく、はっきりとした原因が分からない
身体の機能的な部分に問題があると分かった場合は、医療機関で対処ができます。
しかし実際は「身体に問題はなくとも数が少ない」といった、原因が分からないケースも多いのです。
精子の質を下げると考えられる原因と環境
身体的な問題はなくても「精子の数が少ない」や「運動量が少ない」といった原因がハッキリしないケースも多いです。ですが、精子の質を下げると考えられる原因や環境はあります。以下にまとめました。
【精子の質を低下させる要因】
・栄養の偏った食事バランス
・喫煙
・飲酒
・睡眠不足
・長時間同じ姿勢
・精神的なストレスが多い環境
・熱い風呂やサウナ、キツイ下着など精巣を温める環境
など。
精神的なストレスや脂肪の多い食事、偏った栄養バランスなど、悪い生活習慣は体内に「活性酸素」を発生させる原因になります。長時間同じ姿勢でいることも精巣内の血流が悪くなり、精子の生産の妨げになる活性酸素が発生します。
活性酸素は精子に大きく悪影響を与え、精子の質を下げてしまう原因なのです。
また、熱に弱い精巣は温めると精子の生産に悪影響を与えます。熱がこもらないよう環境や下着にするなどの工夫が大切です。
精子の質を高める方法はあるのか
精子の質を低くする原因や環境をお伝えしましたが「質が低くなった精子はそのままなのか?」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。
上記でお伝えしました通り、精子は毎日作られています。ですので前述した質を低下させる原因を改善すると、体内の活性酸素が減るため精子の質を改善することができるでしょう。
ただし「体外に出る精子は3ヶ月前の精子」ということを頭に入れて、3ヶ月ほど改善した生活を継続する必要があると考えられます。
今日からできる!精子の質を上げる3つの方法

では実際に、精子の質を上げるためにできる方法を3つ紹介します。ポイントは「体内の活性酸素を発生させない」ように生活を改善することです。
【精子の質を上げる方法1】バランスのとれた食事
1つ目は「栄養バランスの摂れた食事を摂ること」が大切です。
以下、具体的に質を上げる食事と下げる食事をまとめました。
質を上げる食事
・オメガ3脂肪酸を含んだ料理(魚やナッツなど)
・ビタミンCやビタミンEを含んだ料理(アセロラやブロッコリー、アボカドなど)
・亜鉛が多く含まれる料理(牛肩やカキなど)
など。
抗酸化効果のある食事は精子の質に良い影響をあたえます。
対して、避けた方が良い食事は以下の通り。
質を下げる食事
・飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の多い食事(バターや加工された肉、マーガリン、ファーストフードなど)
・糖質が多い食事(麺類や丼ものなど単品)
・砂糖の多く含んだお菓子や加糖飲料
など。
以上を意識して、食事を改善するとよいでしょう。
※ただし、絶対に質が向上するといった科学的な根拠はありません。
【精子の質を上げる方法2】生活習慣を整える
2つ目は「生活習慣を整えること」です。
具体的には、
・睡眠時間をしっかり確保する(6時間以上が理想)
・適度に運動して長時間同じ姿勢を取らない(身体の血流を良くする)
・精巣を温めないように意識する(膝の上でのPC作業、長時間の熱いお風呂など避ける)
・飲酒や喫煙を控える
などです。
パートナーの生活習慣はいかがでしょうか?少しの工夫で精子への悪影響を防げるので意識してみましょう。
【精子の質を上げる方法3】ストレスを避ける
3つ目は「ストレスを避けること」です。
大きなプレッシャーやストレスなどは体内に活性酸素が発生します。すると精子の運動量や数にも大きく関係し、妊活に悪い影響があります。
ですので、適度な気分転換やリラックスなど日頃から意識して取り入れるようにすると良いでしょう。
また、妊活中はどうしてもパートナーに協力してもらうことがあるため、心理的にプレッシャーを与えていることもあると考えられます。
心理的な負担を減らす雰囲気を出すなど、パートナーと上手くコミュニケーションを取りながら、良い関係を意識することも大切です。
まとめ
・男性の精子と質について
・精子の質を下げてしまう原因
・精子の質を上げる具体的な方法
について解説しました。
妊娠には精子の質が重要です。精子の質を高めるにはお金をかけず、すぐに実践できることばかりです。妊娠を成功させるためにパートナーと協力し、ぜひ今日から実践してみましょう。
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監修

中林稔
産婦人科医 / 三楽病院産婦人科
日本医科大学卒業。東京大学医学部附属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て、現在三楽病院産婦人科部長。毎日出産や手術に立ち会う傍ら、各地で講演を行い医学的知識や技術の普及に力を入れている。また、少子化及び産婦人科医師不足問題にも積極的に取り組み、教育においても若手医師の育成をはじめ助産師学院の設立等、幅広く活動を行っている。
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