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2021.10.31.MicroSort

【医師監修】奇形精子症と診断された方必見!そもそも奇形精子とは

妊活中になかなか妊娠に至らない。タイミング法など自分でできる方法を試してみたものの、結果に結びつかない。そんなじれったい思いを抱えている人も多いのではないでしょうか。

また思い切って不妊検査を受けたところ、精子の奇形率が高くて不安に思っている人もいるかもしれません。

そこで今回は、奇形精子とその症状、検査方法など基本的な情報をまとめます。奇形率が高いと妊娠しづらい?といった内容についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

奇形精子とは?奇形精子症についての基本情報

親子

奇形精子症とは男性不妊症の一種で、精子の形が悪い状態のことを指します。
たとえば、しっぽの部分が折れたように曲がっていたり、しっぽが短い、変形が見られる、頭部が大きい――。このように、精子の奇形は見た目上の形状で分類・判定されます。

奇形率は、精液検査(精液一般検査)によって精子数、運動率などとともに調べることができ、これらの結果から受精能力の判定がおこなわれます。

結論からいうと、奇形精子は誰にでもあるといわれています。奇形率が0%の人はいません。どんな男性の精液にも、奇形精子は必ず大多数あります。奇形率は下記に示すWHOの基準にしたがい、問題になるかどうか判断します。

2010年にWHO(国際保健機関)が発表した精液検査の基準値によると、奇形に関する基準値は正常形態率4%以上(奇形率96%未満)とされていて、96%以上が奇形であるとわかると「奇形精子症」と診断されることになります。

初めてこの基準の数値をきくと、驚かれる方も多いのではないでしょうか。

精液中に正常な精子が4%というのはあまりにもわずかな数値に思えますが、しかしこれは良いほう。不妊に悩む男性のほとんどで正常な精子は少ないもので、正常率は1〜2%ほどといわれます。

一般的に、奇形精子は受精率が低く、また相対的に正常受精が可能な精子が少なくなるため、妊娠しづらい傾向に。のちほど解説しますが、もし簡易的な精液検査で奇形精子が多いと診断されたら、染色による精密検査に移行します。

精液検査でわかること

男性不妊の原因を探る目的でもある精液検査。初診時検査の場合の相場はおおよそ25,000円で、一般的に精液検査では次のことがわかります。

・精液量
・精子濃度
・運動率
・奇形率
・液化状況
・運動精子速度

上記それぞれに基準値が設けられていて、もし基準値とかけ離れた項目があれば精密検査に移行したり、治療に進んだりすることがほとんどです。基準値については検査したクリニックで説明をしてもらえるので、不安なことや疑問があればその場で医師に聞いてみるとよいかもしれませんね。

ただし、精液検査は実は2回以上受けることが推奨されています。なぜなら、女性の卵子とは違い、男性の場合は本人の体調や精神的な心理状態によって数値の変動が大きいからです。最低2回、可能であれば3回以上の検査を受けることが理想的。

男性側の不妊の要因には、無精子症、精子減少症、精子無力症といった精子を作る精巣機能の異常をはじめ、精路通過障害や射精不全といったものが考えられます。

そしてその不妊要因の中に、「精子の奇形率が高い」という原因も含まれているのです。

奇形じゃない正常な精子とはどんな精子?

通常、精子の形は楕円形の頭部にしっぽがついている形が正常な形とされています。精子の形は一つひとつ異なり、キレイな形のもの、どこかいびつな形のものなどさまざま。

健康で正常な精子とは、形がよくて運動率が高く、数が多いほど良いといわれています。

【各項目の基準値】
・精液量:1.5ml以上
・総精子数:3,900万個以上
・運動率:40%以上
・正常形態率:4%以上(奇形率96%未満)

これらの基準値を満たせば妊娠できると確実にいえるものではありませんが、上記の基準値が男性不妊に対するひとつのバロメータとなっています。

今回は奇形精子について解説していますが、それではその原因はなんなのでしょうか?

奇形精子症の原因が知りたい

奇形精子症の原因は、まだはっきりと解明されていませんが、一部先天性のものであったり、ストレスや食生活を原因とする声もあります。そもそも男性不妊は過度なストレスが原因となることが多いというのがその理由のようです。

そのため、食生活をはじめ生活習慣を見直すなど、ストレスを減らすよう心がけるように指導されることが多いようです。

検査方法

奇形精子の割合について調べる検査方法について解説します。前述した通り、奇形精子症はまず簡易的な精子検査によって診断して、もしそこで奇形精子が多いと判断された場合は「クルーガーテスト」と呼ばれる染色検査がおこなわれます。

クルーガーテストとは、射精後の精液を採取後に精液中の精子を特殊な溶液によって染色し、顕微鏡で確認していく検査です。クリニックによっては院内で採取を求められる場合と、自宅採取の場合があるようです。

奇形精子症の治療方法とは

運動

前述した通り奇形精子や奇形率が増加するメカニズムはわかっていないので、奇形精子症を治療する方法はまだ確立されていません。つまり、残念ながら奇形の精子を正常形態の精子にする治療法は未だにないのです。ただし、ほかの男性不妊の症状の治療のプロセスにおいて、奇形精子症が改善することもあるようです。

たとえば、相対的に正常精子が増えれば自然妊娠率に寄与することが考えられます。精子の造成能力を高めるための治療法や、運動精子の増加を図るための治療がおこなわれることもあります。

奇形精子症でも体外受精は可能?

奇形精子が多い場合、うまく精子が卵子に授精することができません。しかし、体外受精をおこなえば妊娠も不可能ではありません。体外受精では、いかに健康で正常な精子を選ぶかが重要なのです。

また、「奇形精子症」という名前から生まれてくる赤ちゃんにも奇形が出るのではと不安になる方も多いかと思いますが、そこに関連性はありませんので安心してください。

精子の質を高めるには

精子の質を高めるための基本的な考え方は、生活習慣の見直しです。質の良い精子を作り出すには、規則正しい生活によって男性ホルモンの環境を整えることが大事。

具体的には、下記のような対策が考えられます。

・生活習慣を改善する
・嗜好品(タバコ、酒)を摂取しすぎない
・ストレスをためない
・精巣を長い時間、高温下におかない
・圧迫の少ない下着の着用を心がける
・長時間にわたってバイクなどの二輪車に乗らない
・運動不足を解消して日頃から体力づくりをおこなう
・できるだけ座り姿勢の時間を短くする
・性感染症を予防する
・抗酸化ビタミンを摂取する
・亜鉛を摂取する

精子は、心身のストレスによってその健康が左右されるデリケートなもの。日頃から気をつけて、できることから始めてみるのがポイントです。

まとめ

親子

もしご自身がまたはパートナーが奇形精子症と診断されたら驚いてしまうかもしれません。しかし、奇形精子は珍しいものではなく、むしろ正常形態の精子のほうが量が少ないのは一般的なもの。誰にでもあるものとして切り替え、できることにチャレンジしてみてください。

奇形精子症であっても体外受精で妊娠も十分に可能です。また、精子の運動率を向上させたり精子の造成能力を高めるといった方法で、相対的な正常形態精子を増やすことも考えられます。

株式会社ChromoS(クロモス)では精子検査のみでおこなえる男女産み分け法、MicroSort「マイクロソート」のサービスを展開しています。一般の方向けの精液検査も提供していますので、ご自身の精子の質を確認してみたいという方は下記から気軽に資料請求してみてください。

監修

一倉絵莉子

一倉絵莉子

産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック

日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員
日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。

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