【医師監修】産み分けコラム COLUMNS
【医師監修】精子力を上げたい!精子の質の向上に期待できる方法とは?
「夫がやっと精液検査を受けてくれたものの、結果が思ったより悪かった……」
ご夫婦で妊活に励んでいるもののなかなか結果が実らないと、だんだん疲弊してしまいますよね。また、精液検査を受けてみたところ、かんばしくない結果が出てしまい悩んでいるご夫婦も多いのではないでしょうか。
不妊の原因は、男性・女性とも半々の割合となっているので、精子の質は妊娠において非常に大切です。そこで今回は、精子の質やその向上方法、効果があらわれるまでの期間について解説します。
精子の質とは?判断方法や男性不妊の原因について

「精子の質」と一口に言っても、その良し悪しはどのようにして決まるのでしょうか?また、精液検査ではどういった項目や数値で判断されているのでしょうか。以下では、精子の質やその基準値について解説します。
質の良い精子=妊娠力の高い精子
質の良い精子とは、「妊娠させる力のある精子」ということができます。妊娠力のある精子とはすなわち、運動率が高く、精子自体の形状が良く、DNAがしっかりしていて、受精能が高い精子のことです。
たとえば、精子には妊娠させる力の強い「形状」があります。正常ではない形状の精子は「奇形精子」とよばれ、特に頭部の形がよくない精子は妊娠力が弱いといわれているのです。
精液の量、精子の数、精子の運動率、精子の形……これらの条件が全て正常値を満たしている精子が妊娠力のある「質の良い精子」といわれています。
妊娠力のある精子の基準とは?WHOが基準値を発表
それでは、妊娠力のある質の良い精子とはどのような精子なのでしょうか。
2010年にWHO(世界保健機構)が定義した基準値が下記の通りです。
【WHOが定義した基準値】
・精液量:1.5ml以上
・精子濃度:1,500万/ml以上
・総精子数:3,900万以上
・運動率:40%以上
・正常形態率:4%以上
・総運動精子数(総精子数×運動率):1,560万以上
多くの男性不妊クリニックでの精液検査では、この基準値をもとに診療がおこなわれています。ただし、これらの基準を満たしたからといって妊娠が約束されるものではなく、あくまでも自然妊娠に至りやすい最低基準としての値を示しています。
さらに、精子の状態は心理的・肉体的ストレスに左右されやすいので、複数回の精液検査で異なる結果が出ることがほとんど。一度の検査であきらめずに、別の機会にセカンドオピニオンを試すなどして、医師に相談するといいでしょう。
その他、男性不妊に多い原因とは
男性不妊の原因は、精子の質だけではありません。精子を作る器官や機能に問題がある(造精機能障害)、勃起ができない(性機能障害)、精子の通路に問題がある(精路通過障害)、セックスレスなどさまざまです。
中でも多い原因のひとつに「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」という症状があります。精索静脈瘤とは、精巣に静脈瘤(血管がコブのように膨らんだ状態のこと)ができてしまうことで、血流が悪くなり精子の質を低下させているというものです。
静脈瘤によって温かい血液が精巣に停滞し精巣の温度が上昇し、熱に弱い精子の質が悪くなり、男性不妊の原因につながっています。精索静脈瘤は、悪化しない限り自覚症状がで出にくく、気付きにくいことの多い病状です。もし精子が作られていない、運動率が上がらないといった悩みがある場合は、精索静脈瘤を疑ってみるといいかもしれません。
男性不妊はどのように治療する?
男性不妊の治療方法といっても人によってさまざまです。特に、男性不妊の原因に代表されるセックスレスなどは精神的な側面が大きく、医師ではなかなか解決できない問題です。
たとえばホルモンの薬、漢方、サプリメント、手術などが考えられます。「性行為のやる気が起きない……」といった精神的な問題なら、男性ホルモンに関わる薬で性機能を上げる治療などが考えられます。
原因は生活習慣?精子に悪影響を及ぼすあれこれ

精子の質を下げるといわれているものを下記に挙げてみました。あてはまる項目がないかチェックしてみてください。
【精子の質に影響を与えるもの】
・高温下に長くいること(長風呂やサウナ、膝の上でパソコンをする、など)
・ストレス
・運動不足
・不規則な生活リズム
・睡眠不足
・バランスの悪い食事
・喫煙、飲酒
・長すぎる禁欲期間
特に喫煙は精子の質に与える悪影響が顕著だといわれています。タバコの主流煙は血管を収縮させ血流の悪化につながり、勃起不全(ED)の原因になります。また精子の遺伝情報を司るDNAが損傷するおそれもあるといわれています。
とはいえ、男性不妊は女性のものと比べてまだまだわかっていない部分が多いのが現状です。
精子の質を向上させるための対策とは
精子の質を上げるために毎日の中でできることは、意外とたくさんあります。
中でも軸となるのが、日々の生活習慣の見直し。質の良い元気な精子を作り出すには、規則正しい生活習慣を送って男性ホルモンの環境を保つことが大切です。
精子に悪影響となる条件を踏まえると、精子の質を向上させるには下記のような対策が有効だと考えられています。
【精子の質を上げる対策】
・生活習慣を改善する
・嗜好品(タバコ、酒)を摂取しすぎない
・ストレスをためない、適度にガス抜きをする
・陰嚢(精巣)を長時間高温下におかない(精子は熱に弱いため、哺乳類の陰嚢は温まらないように体の外にあります。)
・圧迫の少ない下着の着用を心がける
・長時間にわたってバイクなどの二輪車に乗らない
・運動不足を解消して日頃から体力づくりをおこなう
・できるだけ座り姿勢の時間を短くする
・性感染症を予防する
・抗酸化ビタミンを摂取する
・亜鉛を摂取する
精子の質を向上させるには、適度な運動や適度な体重の維持、栄養バランスのとれた食事など良い生活習慣が必要だといわれています。健康のために必要とされているこれらの項目が、精子の質にも関わっているんですね。
ただ、これらは一朝一夕でどうこうできるものではなく、毎日の積み重ねが大切です。
とはいえ、お風呂やサウナが趣味で、これらが日々のストレス解消になっている方であれば、それらを抑制すること自体が新たなストレスとなり逆効果。また、忙しく過ごす毎日の中で定期的に運動したり、ストレスをためないようにすることはとても難しいことですよね。
精子はデリケートなものなので、心身のストレスはできる限り避けることが得策です。大切なのは、余裕をもつこと。いきなり全ての項目に取り組むのではなく、できることから積み重ねてみてください。
精子の質の改善はどれくらいで効果があらわれる?
精子は約74日間かけて作られます。そのため、妊活や再度の精液検査に臨むのであれば、精子の質改善を始めてから2カ月半程度の日数をおいてから再チャレンジしてみるとよいでしょう。
生活習慣を根本から見直し、たとえば野菜を増やす、よく眠るようにするなど、できるところから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ

今回は精子の質について解説してきました。
女性にまつわる「卵子の質」はよく挙がるトピックスなので、「不妊は女性の問題」と考えられる向きもありましたが、実は原因は男性にも同様にあります。女性に偏ったアンバランスな不妊治療で疲れてしまう前に、精子の質について今一度振り返り、改善の方法をとってみてはいかがでしょうか。
精子は74日サイクルで新しく生まれ変わるので、まずはできるところからチャレンジしてみてください。
株式会社ChromoS(クロモス)では精子検査のみでおこなえる男女産み分け法、MicroSort「マイクロソート」のサービスを展開しているほか、一般の方向けの精液検査も提供しています。ご自身の精子の質を確認してみたいという方がお気軽に検査を受けられる環境を整えています。
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監修

一倉絵莉子
産婦人科医 / 六本木ヒルズクリニック
日本産科婦人科学会専門医、日本女性医学学会会員
日本大学医学部卒業。川口市立医療センター、北里大学メディカルセンター産婦人科等に勤務。
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