【医師監修】産み分けコラム COLUMNS
【医師監修】MicroSort「マイクロソート」を自宅で使用する方法
93%(女の子の場合)の高い産み分け精度をもつMicroSort「マイクロソート」。提出された精液はご希望の性別に分類され、ご自宅へ届けられます。ですが、届いたあとの自宅保管はどうすればいいのでしょうか?
また、自宅で保管・使用する際に精子が劣化する心配はないのでしょうか。この記事では、ご自宅に届いたMicroSort「マイクロソート」済み精液の取り扱い・保管方法について解説します。
MicroSort「マイクロソート」はドライシッパーでご自宅へ

MicroSort「マイクロソート」検査済み精液は、ドライシッパーという特殊な装置で低温管理され、ご自宅へと輸送されます。普段の生活でドライシッパーに触れることはまずないので、どう取り扱えばいいのか不安に思われる方も多いでしょう。まずは、ドライシッパーが一体どういうものなのかをご紹介します。
ドライシッパーとは?
ドライシッパーとは、冷却状態で輸送するための特殊な容器です。中に特殊な吸着剤を備えており、-196℃の液体窒素を充填させて超低温状態をキープします。MicroSort「マイクロソート」でご自宅輸送用に使われるドライシッパーの場合、保冷期間は4日間です。
外気温に左右されず超低温を保つことができ、真夏での輸送でも確実に保冷して精子を保護します。ドライシッパーは衝撃を吸収する輸送タンクに入れられ、厳重な管理のもとで届けられます。
超低温下で安全に輸送
生きた精子は、通常の冷凍設備では保管することができません。通常の冷凍設備は-20℃前後ですが、精子の劣化を防ぐためにはさらに低い-150℃以下の超低温をキープするのが条件となります。
そこで採用されるのがドライシッパーです。ドライシッパーは生体の研究分野でも使われる輸送方法で、安全性が確立されています。お引越しなどの都合で不妊治療クリニックを移る場合でも、凍結卵子や凍結胚のクリニック間輸送ではドライシッパーが用いられます。
転倒しても液体窒素は漏れない
ドライシッパーは、-196℃の液体窒素を使って保冷します。液体窒素と聞くと「転倒しても大丈夫?」「液体窒素が漏れてしまわないか?」と不安に思われるかもしれません。
ドライシッパーは万が一の転倒に備えて、特殊な吸着剤を内蔵しています。液体窒素はこの吸着剤に完全に吸収されるため、液体窒素が漏れ出すことはありません。
ただし、転倒したままだと保冷効果に偏りが生じるおそれがあります。ご家庭でドライシッパーの入った輸送タンクを保管するときは、起こした状態にしておきましょう。
MicroSort「マイクロソート」の使用方法

ここからは発送~注入までの流れを解説します。本番でスムーズに取り組めるよう、作業のイメージをかためておきましょう。
配送希望日に合わせて発送
海外での検査が終了し、検査済み精液が株式会社ChromoS(クロモス)に届き次第メールにて保管完了のご連絡をいたします。排卵日前後などをご考慮された上で、配送希望日をお知らせください。なお、配送希望日のご申請は当日の3営業日前までとなっております。
使用前まで輸送タンクに入れたまま保管
ご自宅に届いたドライシッパーは、精液注入の直前まで輸送タンクに入れて保管します。開封してしまうとドライシッパー内の温度が上昇するおそれがあるので、事前の開封は避けてください。また、輸送タンクは横倒しにならないように注意してください。
使用20分前に解凍作業へ
いよいよ使用する20分前になったら、輸送タンクを開封します。ここからは細かい手順が必要なので、より詳細にご説明します。
■輸送タンクを開封
輸送タンクのロック部分にはセキュリティ保護のための結束バンドが取りつけられています。これを切断して開封すると、作業用手袋が入っています(3回セットの場合は1回目の輸送時のみ)。凍傷を防ぐため、ドライシッパーを扱う前に手袋を装着してください。
■ドライシッパーを開ける
ドライシッパーを開けます。開封時は念のため、換気をよくした広いスペースでおこなってください。また、ドライシッパーの金属部分に素手で振れると凍傷を起こすおそれがあります。開封は手袋を装着した方がおこなってください。
■キャニスターを引き上げケーンを取り出す
ドライシッパーを開けると、キャニスターのハンドル部分が出ています。ハンドルを引っ張ってキャニスターを引き出します。キャニスターの中にはケーンと呼ばれる金属棒が入っているので、引き抜いてください。
■バイアル容器を取り外す
ケーンにはバイアル容器がセットしてあります。このバイアル容器内にMicroSort「マイクロソート」検査済み精液が入っています。バイアル容器を取り外して、記載されているお名前が一致しているかご確認ください。
■室温で解凍
室温(15~30℃)でおよそ20分置きます。20分というのはあくまで目安で、完全に解凍できる時間は環境によって異なります。きちんと解凍できているかは、氷の結晶が完全に消失しているかどうかで判断してください。結晶が溶け残っているときに、容器を振ったり、お湯や水に漬けたりするのは避けてください。精子の劣化をまねくおそれがあります。
セルフシリンジ法で注入
解凍した精液を、セルフシリンジキットのプラスチック容器に移し替えましょう。プラスチック容器をスタンドにセットすると、容器の角に精液がたまります。シリンジにカテーテルをセットし、あらかじめ「4」の目盛りまで押し子を引いて空気を入れておいてください。
精液の全量をシリンジでゆっくり吸い取ります。先端のカテーテル部分だけに入っている状態が理想です。精液がシリンジ内に入り込まないように注意しましょう。精液を吸い取ったら、漏れないように先端をやや上に傾けます。
ベッドなどに仰向けになり、腰の下に枕などを入れて高くします。カテーテル部分を膣に完全に挿入します。挿入が終わるまでは、シリンジの押し子を押さないよう注意しましょう。空気とともに一気に精液を注入します。注入したら膣からカテーテルを引き抜いてください。
MicroSort「マイクロソート」使用時の注意点

MicroSort「マイクロソート」をご自宅で保管・利用するときには、いくつかの注意点があります。精子の良好な状態を保つために必要なので、しっかりポイントを確認しておきましょう。
ドライシッパーの保冷期間は発送から4日間
ドライシッパーの保冷期間は、クロモスから発送された時点をスタートとして4日間です。ご自宅到着から4日間ではないので、ご注意ください。配送にかかる時間を考慮すると、到着後はあまり日を空けずに注入していただく必要があります。
自宅の冷凍設備では保管できない
MicroSort「マイクロソート」検査済み精液は、ご自宅の冷蔵・冷凍庫では保管できません。前述したとおり、精子の状態を保つには超低温下での保管が必要です。一般的な冷凍設備では温度が高すぎるので、必ずドライシッパーに入れた状態で保管してください。また、ドライシッパーは使用直前まで開封しないでください。
解凍後の精液はやさしく扱う
解凍後の精子は、繊細に取り扱う必要があります。バイアル容器を振ったり、中の精液を混ぜたりするのは避けてください。なかなか溶けないからといって、解凍時に水やお湯に漬けるのもNGです。精子の劣化をまねくおそれがあるので、必ず室温下で解凍してください。
取り扱い時はやけどに注意
ドライシッパーの金属部分は超低温です。凍傷を防ぐため、ドライシッパーの開封やキャニスター・ケーンの取り扱い時は付属の手袋をはめて作業してください。また、作業は換気のよい広い場所でおこなってください。
3回セットの場合は、1回目のお届け時に手袋をお付けします。2~3回目でも使用するので、ご自宅で保管しておいてください。使用後のドライシッパーは、開封したまま冷気を放出したのち、1週間以内にChromoS(クロモス)までご返送いただきます。返送時は、添付の着払い用伝票をご利用ください。
まとめ
ドライシッパーによる輸送は、研究機関や不妊治療クリニックでも使われている安全な方法です。ご自宅では使用日前に開封することがないようご注意いただき、4日間の保冷期間内にご使用ください。
MicroSort「マイクロソート」済み精液のお取り扱いに関する詳細は、資料請求でご確認いただけます。資料請求はChromoS(クロモス)の専用フォームにておこなっているので、ぜひお気軽にご利用ください。

監修

高田優子
産婦人科医 / レディース&マタニティクリニック ザ 夙川
東京女子医科大学卒業。東京女子医科大学病院で初期研修した後、東京女子医科大学産婦人科教室に入局。現在はレディース&マタニティクリニック ザ 夙川にて産婦人科診療をおこなう。
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